Simple Life

「ふぉ～～～～～～～～～」

月曜日。
7時ぴったりに起床。
今日からまた一週間が始まるんだなぁ。



朝一番の仕事は、勉強机の上になぜか放置されていた新聞紙の処理。



姉貴はまだ爆睡中。
マイナーリーグとはいえ一応選手になったから、9時出勤になったと思うんだけど。
ちゃんと起きてくるかな。



さて、ゴミ出しゴミ出し。
時間があればトイレと風呂も掃除しとくんだけど、もうじきスクールバスが来ちゃうな。



「雪……降るのかな」

新聞だと、午後から天気が下り坂みたいだけど。
去年の冬は色々とひどかったけど、今年はそんなことないよう祈るだけ。
とりあえず家に屋根があるから、屋内で全身凍結する事がないのは確かだな。



8時ちょっとすぎ。
スクールバスが来た。
姉貴の仕事の車も着たけど、姉貴ちゃんと起きて来るんだろうな。



「……車の音が聞こえる。
起きればいいんでしょ。起きれば……」

朝寝坊クイーンのご起床。



「あ～。運動すると汗かくし、転んでドロだらけになるし、嫌だなぁ……。
でも痩せられるかもしれないし、ちょっとは我慢するかぁ」

綺麗好きに運動キャリアは向いてない？
ところで何のスポーツをやっているか、それがそもそも不明です。



そして13時。
高校から帰宅。
成績表？　そんなものは丸めてポイして踏んづけて終わりだよ。



宿題ノートってカラフルだ。
それ以外何の感想もないっす。
しかし、どれだけ積み上げられるんだろうね。宿題ノート。



「あ、そっか。姉貴、仕事いってるんだ」

最近は学校から帰ってきたらいつも家にいたから、ちょっと変な感じかな。
一人でのびのび過ごしたい気もするけど、この後バイトだから風呂入って着替えて、すぐに出かけなきゃ。



カサンドラコーブの旧市街にある小さなカフェ。
出しているのはエスプレッソ一点。



「店長、こんにちは～」
「おう、来たか。じゃ、後は頼む。やっぱここに立つのは身長の低いティーンの方がいいわ。
大人じゃ、絵画に目から上が埋まるし」
「そのメニュー、もうちょっと上にあげたらいいだけじゃ……」
「メニューじゃない。絵画だ」

メニューに見える飾りもあるけど、それは絵画。
土日が休みで、ドーナツもクッキーも全てフェイクなカフェだけど、結構繁盛はしている不思議なインチキ店です。
こだわってるだけあって、エスプレッソ美味しいもんな。



「店、ちょっと改装したんだな……」

安時給とはいえ、一日で150＄稼げるんだから家計には大助かり。
それに街に出かけるいい口実でもあるしね。



「店長、エスプレッソ用意できたんでいつもの仕事先にやっときますね」
「頼む。俺は店内の客のキックバッグを止めてくるから」

ずっと以前は客達の間で店内枕たたきが流行っていたみたいだけど、最近はもっぱらキックバッグらしい。
客さんがフリーダム過ぎると、お店経営も大変だね。



「あ、すみません。このトイレこれから掃除するんで。
隣使ってもらっていいっすか？」
「あら、残念ね」

そしてエスプレッソ以上にこの店が誇るのは、絶対的に居心地がいいレストルーム。
この店に入ってきたお客は第一に、その居心地のよさにつられるようにトイレにやってくる。
そして、尿意もないのにトイレにいても無駄なことに気づき、店に戻ってエスプレッソを買ったりキックバッグしたりするのです。
そしてそのトイレを綺麗に磨く事が、最近俺の誇りになりつつある。
俺の十代、本当にこれでいいのかな？


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