ツインブルックの一角に突然生えた、一軒の高床式住居。
「なんでここパンパングラスばっかなんだよ!」
こちらで目をひん剥いているのが、新しくやってきた住人、山田 功(こう)さんです。
10x10の極小区画ですが、高い床下スペースを利用して、あまり育たなさそうな園芸スペースも完備。
ベランダもついて、小さいながらもなかなか住みやすい家です。
ボロいけどね!
(でっかいダムがあんのに、俺の住んでた田舎よりひでぇな。ここ……)
巧さんの特質は、「気難しい」「一匹狼」「非常識」「アウトドア好き」「鍛錬されている」です。
なんというか、特質前半三つは対人関係において完全不利な性格。
そして後半二つが、電気も通っていなさそうな超絶田舎育ちの逞しさを感じさせます。
(全スキルMaxになって、故郷の奴らを見返してやるぜ!)
シムズ3でしばらく遊ばないうちに、拡張パックで新スキルが色々追加されたようです。
今回は彼を使って、いろんなスキルを体験していこうかな。
湿気がすごそうだけど、なかなかいい雰囲気じゃありませんか!
これからの生活が楽しみです。
まずは斜め向かいのこちらのお宅に挨拶に行っておきましょうか。
ベイレス家というらしいです。
「引っ越してきた山田です。今後ともよろしく」
「ああ、はじめましてね」
ベイレス家のお父さん。眠たそうな顔立ちの優しそうな人です。
そして、奥さんと息子。
……なんでみんな迷彩?
(こいつは……!)
やたら殺気立った巧さんの視線の先に……。
迷彩の人、もう一人いた!
全体的に色が薄いけど!
え、えーと、彼女は誰だろう。
奥さんかお父さんの兄弟かな。
まさか、おばあさんってことはないよね……?
「今日の授業、けっこうおもしろかったよ、お父さん!」
「そりゃよかったね~」
(娘? まさか、女子高生……?!)
ベイレス家の御嬢さんでした。
いや~~~、年に似合わず大人っぽいですね~~~~……。
そうこうするうちに、家族みんながテレビの前に集まってきました。
仲良し家族♪
なかなかこちらのお宅は居心地がいいですね。
「非常識」な巧さんも、こうしておとなしくテレビを見ていてくれたら、ベイレス家の人々とすぐに仲良くなれるでしょう。
「見ない顔だな。新入りかい?」
「……」
お客さんも来ていました。ダドリーさん。
確かこの人、泥棒一家で唯一警官職に就いている人だった気が……。
ツインブルックにはサンセットバレー以上に一癖も二癖もある住人が多いんですよね。
間もなくして、またしてもお客さんがやってきました。
「邪魔するぜ」
「やあ、今日は新しいお客さんが来てるんだ。会ってくかい?」
この黒い人は見た目通りのワルです。確か白い服着たいい人そうなのと二人暮らしだったな。
ちなみに彼は巧さんと同じく「非常識」持ちなので、お友達になれそうな気がする。
一方その頃。
お客さん放置でそれぞれ楽しむベイレス一家。
巧さんはテレビの前から動きません。
人が多くなってきたので、「一匹狼」の彼はそろそろ居心地悪くなっています。
「あんたも相変わらずいい男ね!」
「ワオ!」
あっ、奥さん! 夫の目の前で真っ赤なバラをほかの男に渡しますか!
ベイレスお母さんは浮気性なんだろうか。
というか花を渡す行為自体は、シム的には単なる挨拶代わりなんだろうか。
ベイレス父さん、特に怒ることもなく、普通に二人の会話に加わります。
「ところであなたの星座ってなんだったかしら?」
「母さん、高校生の子供までいるのに、今まで知らなかったの?」
「ところで腹が減ったんだが」
「今お母ちゃんが、サラダ作ってるみたいよ。
ボク野菜嫌いだから、兄ちゃん代わりに食べていったら?」
いつまでもテレビばかり見ている巧さんに指示を出して、息子と会話させました。
大人相手だと非常識な言動で怒らせてしまいそうなので、とりあえず子どもから仲良くなっときましょう。
「わーい! 秋のサラダだ!」
仏頂面がデフォの巧さんも、好物の料理に思わずこの顔。
枕たたきの羽が飛び散る中で、夕食をごちそうになります。
「お前、そんな料理で幸せになれるのか。お手軽な奴だな」
「家内の料理にケチつけないでね……」
奥の二人も、食べたいなら食べればいいのに。
枕たたきで羽まみれの姉弟も、二人そろってお食事。
仲いいなぁ。
食べ終わったら食べ終わったで、またしてもTVにくぎ付けになる巧さん。
一匹狼というより、カウチポテトっぽいよ。
深夜回ったのですが、またお客さんがやってきました。
ベイレス家って、ひそかにこの町の人気者なんでしょうか。
確かに、沼地の湿気を除けば、ここは居心地良くて楽しい家庭ですもんね。
「なんか、引っ越しの挨拶のつもりがすっかり長居したな。そろそろ帰るわ」
「兄ちゃん、その前に、僕に寝る前のご本を読んでよ」
対して会話もしていなかったベイレス家の息子から、本読みのリクエスト。
こんな怖そうなお兄さんに頼んでもいいのか、ボク。
巧さんが本棚から一冊の本の引き抜いた直後、なぜか行動キャンセルされてしまいました。
しょうがない。
時間が時間なので、本読みはお預けです。帰ろうっと。
人様んちの本をパクったまま帰途につく巧さん。
家が近いから帰るのも楽ちん。
明日は職探しです。
巧さんがなぜか教育キャリアにつくという望みを出しているので、かなえてあげましょうか。
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