午後16時。
そろそろバイト探しも諦めるか。
ちょうどカフェが目に付いたし、あそこで一休みしよう。
チャーリー……。
奢れよな!
「あれ?」
「お?」
またティーンだ。
でも、この人確か……。
「なーんだ! 誰かと思えば、学年最下位組みの二人じゃーん!」
誰だったっけ?
「ヴァズさん、この人クラス長のアーネスト兄さんっすよ」
ああ、そういやクラス長って、成績も学年トップじゃなかったっけ。
「こんなところで何してんだよ。
もう日曜日の午後だけど、ふたりともちゃんと宿題したかー?」
「してない、です……」
「するはずが無いっす」
「今なんつった? なんつった!?」
「いでででででっ!」
学年主席のわがクラス長。
優等生だけど、滅茶苦茶気さくな人らしい。
せっかくだから、お茶に誘うことに。
「二人とも、店に入ろうよ!」
この店、出来てまだ新しいみたいだね。
店内。
小さい店だけど、居心地よさそうだな。
ここ、コーヒーショップみたい。
あれ?
カウンターの中に、店員さんがいないよ。
「?」
「ずずず……」
ここで一人コーヒー飲んでる人、店員さんっぽいんですけど。
「あのぅ、おじさんこの店の人ですよね?」
「そうだが。もしかして、コーヒー飲みに来たのか?」
「その他の理由でコーヒーショップに入る人は、いないと思うんですけど」
「いや、開店当初から、店内でキックバック大会をする客しかこなかったし。
それ以外は、店の外で水風船合戦する客だったからな」
「……」
この店、全然流行ってないのかな。
とりあえず、店内のメニューを見て、と。
「俺、キャラメルコーヒーにしようかな」
「自分は、フラペチーノがいいっす。クラス長は?」
「チャイがいい。せっかくだし俺、奢ろうか?」
「いや、チャーリーが払ってくれるって」
「え?」
「けっこうメニューが豊富だね」
「だねぇ」
あれ?
背後にどこかで見た姿が。
昨日の夜、コンビニで見かけたような。
偶然……だよね。
しかも店の壁から、人の頭と手が生えてるし。
……変な店だな。
「キャラメルコーヒーとフラペチーノとチャイ下さい」
「そんなものはない。エスプレッソ3つにしろ。むしろ、それしか作れない」
「でも、メニューに……」
「あんなものは飾りだ」
……この店、おかしい。
前へ / 次へ
PR
トラックバック
トラックバックURL: