ダウンタウンをとぼとぼ。
バイトの口がないというよりも、俺自身の才能の無さにへこむなぁ。
ネットで調べた店もみんなまわっちゃったし、どうしよう……。
映画の告知?
そういえば、しばらく映画を見てないなぁ。
なんて、チャーリーとあてども無くさまよっていたら突然……。
「よう、お前! 俺の縄張りに無断で侵入するたぁいい度胸じゃねぇか!」
な、なんだ?
いきなりティーンに絡まれた。
どっからわいてきたんだよ、お前は。
「通行料払ってもらうぜ! 通行料!」
「はぁ~?」
そういえばこいつ、高校で見た顔だ。
いわゆる不良グループのヘッド、かな。
身ぎれいにして、マフィアを気取ってるらしい。
ヤな奴に捕まっちゃったなぁ。
チャーリーも、俺の後ろでおじいさんと談笑してる場合じゃないって!
「通行料なんか払えるかよ。
ここ、思いっきり公道だろ!」
「るせー! 俺は今、虫の居所が悪いんだ。黙って通すか、ボケ!!」
チャーリー、だから一人だけで、おじいさんと和やかに話してるんじゃないよ。
温厚な俺としては、あんまり手荒なことはしたくないんだけど……。
ここは抑えるべきか否か。
「いいから、金出せよっ!」
「おう!?」
強く押されました。
ううっ、ひどい。
どちらかと言うと快活な俺は、乱暴なことをされると、ついつい泣いてしまう。
でも、勇気を出すぞ。
「……」
「なんだよ、その顔は。文句あるのか?」
こいつ手下が多いから、手を出したくないのも山々なんだよね。
でも、ここで引き下がって金を出したら……、きっと、きっと、姉貴に怒られる!
「そっちこそ、とっとと失せやがれ!」
「痛っ!?」
「いい度胸してんじゃないか。
明日学校に出てきたら、ただじゃおかねぇからな!」
「う……」
もしここで怖気づいてお金を出していたら、明日どころか今日、俺は姉貴にどうかされてたと思う。
「青春じゃな」
誰ですか、あなた。
そしてその間チャーリーは、知らないおじいさんと終始和やかムードで会話を続けていましたとさ。
お前、もう絶対ココア奢らないからなっ!
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