ソファーで跳ねてたら姉貴に怒られたし、雪だるま建設の続きでもしようかな。
あれ、来客?
「どーもっス」
「おはよー。えっと、確か同じクラスだったよね。
名前は……」
なんだっけ?
俺、人の名前を覚えるの苦手なんだ。
「チャーリー・オッドネス。
気にすることないです!
新入生だから、名前覚えてなくても仕方ないっすよ~。
自分、クラスじゃ目立たないほうだし」
そうそう。オッドネスだ。
この面白い顔とアフロだけは、鮮明に覚えていたんだけどね。
十分目立ってはいるけどな。ビジュアル的に。
「今日休校っしょ?
せっかくだから、新入生のヴァズさんに町を案内しようと思って。
といっても、自分も去年ここに越してきたばかりで、それ程詳しくはないんスけどね」
「うれしいな。
でも、出かけるには雪がすごすぎない?」
「山を越えてリバーブロッサムヒルズに入れば、そんなでもないっすよ」
ところでチャーリー。
なぜに同級生に敬語を?
「校内成績の最下位を争うもの同士、これからも仲良くするっす」
「……別に争ってるつもりはないんだけど」
俺の成績、そんなにひどかったっけ。
ま、いっか。
というわけで、アフロ……じゃなくてチャーリーが案内してくれたのはここ。
ヒルズのコミュニティーセンター。
大雪だけあって、人がいない!
一面の新雪って、見てるだけでも爽快だよね。
「でやっ!」
「おう!?」
雪があって、友だちがいれば、やることはひとつ!
それは雪合戦!
「手加減なしだぞ~!」
「投球、重すぎっすよ……」
あ、そういえば姉貴に何も言わずに出かけてきちゃった。
でも俺ももうティーンだし、いちいち言わなくてもいいよね。
「カモ……」
雪合戦をしていたら、場違いなオーラを漂わせた紳士が。
あれがうわさに聞く詐欺師だろうか。
姉貴といい勝負かもね。
雪合戦に飽きたら、次はスケート。
でも、いきなり転んだし。
俺、初めてなんだよな。
「うをっ!」
転倒数回。
いい加減お尻が痛くなってきた。
きっと青アザだらけになってるよ。
ようやく慣れてきたかな?
本当、無駄に運動神経だけはあるんだ。
「チャーリーも滑ったら?」
「おおぉ?」
あっ!
「……滑ったっス」
滑り方が違うだろ。
って、俺も人のことは言えないけど。
俺はもうコツをつかんできたよ。
ほら!
スピンだって……
「あぶなっ!?」
調子に乗ると、すぐこれだ。
でも、もう少し練習したら絶対スイスイ滑れるようになるって。
「ああーっ!」
チャーリー、さっきから別の意味で滑ってばかりだ。
運動は、ダメっぽいね。
暗くなったからもう家に帰らないと。
帰りしな、通りすがりのペンギンにご挨拶。
「コケケ」
「一緒に来る?」
「プルル」
遠慮します、だってさ!
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