「ふわぁ~。良く寝た。今日も、ちょっとばかり寝坊したみたいね~」
姉貴、ご起床。
しかし、その服は……。
「おはよう」
「あら、あんた学校は? 今、10時よ」
「バス来なかった。外、大雪だから休校かも」
白地に紺のレースって訳じゃないよね……。
何もかも透けて見えてる気がするけど、肌が真っ白だから、あんまり下品に見えないのが不思議だ。
いや、それより俺は、この人のパジャマと下着の趣味をどうにかしたい。
こんな格好でうろうろ出来るのは、屋根がついて家が暖かくなったおかげか。
屋根の設置に、意外な弊害があったな。
「まだ食べられる。もったいないから、片付けちゃおー」
「せめて、暖めてから食べたいな……」
朝食は、昨晩のピザ。
当然、冷えてます。
この食生活も、なんとかしたい。
「ねぇ姉貴、ガスコンロ買おうよ。毎日、暖かいシチューとか飲めるしさ。
設置工事費も、そんなにかからないんじゃない?」
「だめだめ! 火事になったらどうするのよっ!」
「火災報知機付ければ、大丈夫じゃない」
姉貴、またもガスコンロを完全否定。
そんなに、火事が嫌なの?
「あんたはねぇ、火事の本当の恐ろしさを分かってないのよ。
私のひとつ上のお兄ちゃん、レンジでチンしてたら急に出火して、レンジも自分も灰になっちゃったのよ」
えっ!?
「レンジでああなったんだから、コンロじゃ何が起こるかわかったものじゃないわ。
だから、この家には永遠に、ガスコンロは付けません! OK?」
姉貴、兄弟がいたんだ……。
姉貴の家族の話、初めて聞いたな。
それにしても、レンジで焼死って、キツイな。
「分かったよ。
(あんな過去があったら、確かにトラウマになるよな……モグモグ)」
「分かってくれたなら、それでいいわ。
それにしても、あんたの今の顔、すごいわよ」
大きなお世話です。
さて、今日は金曜日。
大雪で休校になったってことは、土日と合わせて三連休だ!
よし、遊ぶぞ~!!
「んっしょ」
とりあえず、雪だるま建設。
それくらいしか遊ぶネタがないっちゃあ、ないんだけどね。
ロンドステを首になった姉貴も、今日は家でおとなしく財テクアドバイスの仕事をするみたい。
「ん?」
雪だるまに夢中になってたら、迷い犬が。
俺と遊びたいのかな。
でも体が冷えてきたから、もう家に入らないと。
バイバイ、また今度な。
「姉貴、ネットで財テクアドバイスをするんじゃないの?」
「電源入れた直後に、パソが煙を吐いてプッツンしたの。
修理屋さん呼んだから、すぐ直るわ」
(でもさ、家の残金、100$とちょっとだよ。
修理代払えるの? 公共料金の請求書も来てるし)ボソボソ
(ギリで大丈夫よ。
パソが直れば、財テクアドバイスで十分復活できるわ)ヒソヒソ
あいかわらず、生活は綱渡り状態。
俺も、バイト探さないと。
明日、雪が少し溶けてたら、町にバイト先を探しに行ったほうがいいな。
「よし、直った。さぁ、バンバン稼ぐわよ」
姉貴、財テクのこと分かるのかな。
経済学部卒とか?
「えーと。今回の相談者は、ちょっと知識があるみたいねぇ。
ま、この程度じゃ私の敵じゃないわ。
『だまされたと思って、マッチメーカーからポーションを買い占めてみろ』
これでオッケーよ」
姉貴……。
いい加減なアドバイスをして、あとでとんでもないことになっても、俺は知らないよ。
「そういえば、この前『森のCDを買い占めろ』ってアドバイスをした奴。
あれから全然音沙汰ないわね。
儲かったんなら、教えてくれてもいいのに」
俺、この人を止めたほうがいいんだろうか。
「……ヴァズ。
さっきからあんたウルサイ。
これ以上ソファーの上で跳ねたら、シメるから」
「……」
「ったく。無駄に運動神経だけはいいのね」
いや、家の中でじっとしてるの、活発な俺には結構つらいんだよ。
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