Simple Life

とことこ

通行人「……」



通行人「……」

そして、そのまま通り過ぎていった通行人。



「ただいまー。友達を連れて帰ってきたよ」
「ん？　あんた、どっかに出かけてたの？」
「うん。ねぇ、お腹すいたんだけど」
「今晩は中華にしようか」
「でも、中華は火力が命じゃ……」
「出前よ」

姉貴、実は料理できないんだろ。



おや、外に見覚えのある人影が。

「姉貴に、お客さんが来てるよ。昨日の男の人」
「うん？」



「こんばんは。何の用？」
「えーと……。
　僕のせいで、エーナさんが首になった話なんだけど……。
　その、僕としてはつまり……」



「あー、もうっ！
　今更どうでもいいわよ、そんな話！
　それより今から中華食べるんだから、あんたも食べていきなさい！
　どうせ６箱も配達されてくるんだから、あまるともったいないし！」
「えっ、でも……」

姉貴って、気前はいいみたい。
それにしてもこの男の人、本当にじれったいなぁ。



「どもー。中華６人前、お待ちどうさまですー」
「ありがとう。これからお得意様になるんだから、クーポン券くらいサービスしてくれない？」

ちょっとちょっと。
もしかして、これからも毎日毎食、ピザか中華三昧ですか！？



「いっただっきマース！」

あれ、チャーリーの顔色が真っ青だ。
今までずっと外にいたの？



「あんた……。箸使って食べないの？」
「不器用だから、箸はダメなんです」

フェニックスさん、家に上がったのはいいけど、なぜかPCに直行。
一緒にご飯食べないのか？



「ん～、うまい！　ここの中華って、最高っすよ」
「……チャーリー、箸使えって」

姉貴、極度に綺麗好きだから、ああいう食べ方は不興をかうんだよ。



フェニックスさん……。
料理のブログを見てないで、こっちに加わればいいのに。
もしかして、姉貴が怖いのか？
話をしに来たんじゃないのかなぁ。



「がふがふ、ごくっ！　もっしゃもっしゃ」
「……最低ね」

食べ方はともかく、真っ青だった顔色が元に戻ったみたい。
屋根を付けて本当に良かった。
でないと、お客さんが凍死するところだったよ！



「私、疲れたからもう寝る」

あ！
姉貴、フェニックスさんは？
放置？



午前１２時をまわって、チャーリーは帰宅。
フェニックスさんが、ようやく中華を食べにきた。

「姉貴と話をしなくて、よかったんですか？」
「うん。
　とりあえず、彼女があんまり落ち込んでなくて、よかったかなって……」



「何か困ったことがあったら、相談してね。
　僕、出来るだけ力を貸すから」
「俺に言われても……」



「それじゃ、遅いからもう帰るね。さようなら」
「さよなら……」

この人、家にやって来て、何か意味のある行動した？
本格的に姉貴と対面させたら、この人どうなるんだろうな。
ちょっと気になった、深夜２時のことでした。


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