爽やかな土曜日の朝。
新聞配達(相変わらず、殺風景な家だなぁ)
「朝風呂サイコー! やっぱり早起きはいいもんね」
「それにしても、あいつまだ寝てるのかしら。休日だから、いいけどさ」
俺、昨日の夜が遅かったから、爆睡中っす。
「昨日貯めた小金で、ちょっとキッチンに手を入れたけど……。
イマイチかなぁ。思い切った色を使ったほうが良かったかも」
「一仕事の前に、楽しさ回復~」
「よしよし。お前はユッキー2号よ」
「スノーエンジェルー。
いつかこのスペースに自家用車を置きたいわね~」
「っていうか、あいつまだ寝てるわけ?」
しかも知らないおじいさんの夢を見てるんだ。
誰だろう……。
でも、とても親しみを感じる。なぜだ。
「さて、そろそろ始めるか。
今日こそ鍋つかみ製作を、マスターするんだから!
それにしても、私の脚線美を活かせる、稼ぎのいい仕事はないかしらね……」
(ミシンの音。朝?)
「う~ん……」
すでに11時過ぎだった。
寝すぎると、逆に体がだるくなるよなぁ。
やべ。今日は商店街へ、バイト探しに行くんだったのに。
時間を無駄にしちゃったよ。
「ふー。彼女欲しい気が、しないわけでもない」
目が覚めると、俺の頭の中は「付き合う」事と「口説かれる」事と、デートのことで一杯だった。
それよりこのトイレ、扉が閉まらないんですけど。
昨日の晩の食べ散らかしを片付けてっと。
まずは、新聞でバイト情報をチェックしようかな。
ん?
今朝はお客さんが一杯。
ペンギンに……。そこの雪の中に埋まってるのは、スカンク?
「げっへっへ」
「おまえ、かわええのぅ、かわええのぅ!」
「スクールバスが来てるの! 通して~!」
性悪雪だるまユッキー1号と2号に絡まれるペンギンの図。
なんて、遊んでる場合じゃないよ、俺。
さて、今日の求人は……。
「まだ、若手芸人の募集をしてる。人来ないんだろうな……」
「姉貴、商店街にバイト探しに行ってくるよ」
「あ、そんなら、手作り雑貨の店に寄ってきてくれない?
引越し初日に、あそこのオーナーが来てくれたでしょ。
鍋つかみの作り方のコツを、聞いてきて欲しいんだ」
「分かった。ついでに、夕ご飯も買って来ようか」
「そうね。ピザと中華ばかりじゃ、飽きるもんね。任せるわ」
さて行くか。
ペンギン、まだ雪だるまと話してる。
数学式か。
このペンギン……、俺の宿題とか、やってくれないかなぁ。
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