夜8時近く。
雨が降り出した。
「なんか店が騒がしいな……って、また喧嘩か?」
店長、トイレからようやく出てくる。
「けっ、口ほどにもない」
「うぐぐ……」
喧嘩の決着がついたところで、閉店。
そしてもちろん俺は……。
「店潰す気?」
「す、すみません……」
「俺はそんなつもりなかったんすけど、お客さんがやる気マンマンで……」
「言い訳すんじゃねぇ。今度騒ぎを起こしたら、俺が貴様の相手になるからな」
「すんません……」
雨上がりの中帰宅。
でも、ブルーウォーター村はまだ降ってるかもなぁ。
やれやれ、今日は疲れたよ。
「……」
「請求書が着てる……。64$。
ヴァズのバイト代から払おうか」
「今日のバイト、どうだった?」
「あとで気がついたんだけど、俺の時給24$になってた」
「2$上がったね」
「エスプレッソ、それなりに売れたからね」
「それより、俺もあのエアロバイクで体鍛えて、喧嘩に強くなるよ!」
「喧嘩強くなるかどうかは分からないけど、打たれ強くはなるかもね」
「喧嘩に負けるのが悔しいってのは、私もよく分かるわー。
本当にムカつくわよね。
私もあのエアロバイクで、鋼の肉体を手に入れたいわー」
「姉貴も、誰かと喧嘩とかしたの?」
「女の人生って、色々あるのよ」
そういうもんなんすか?
「ま、ひとまずはお互い、余分な肉をどうにかするのが先決だけどね」
この食事で、俺もとうとう太ってしまったという……。
我ながら、すごい腹だ。
食事の後、少し体を動かすことに。
「今年初めての蛍だ!」
もう夏だもんね。
「それっ」
日中はよく虫捕りしてたから、瓶での昆虫採集は少しだけ手馴れてる。
ほらね、こんなに採れた。
この家、すぐそこに湖があるから、蛍も多いかもしれないな。
「姉貴、見て見て! 蛍採ったよ、蛍」
「ぐぅ」
あ、もう寝てる。
蛍に興奮して、俺もついつい小学生みたいなことをしてしまった……。
はしゃぎすぎだな。逃がしてやるか。
「明日の登校時間までには、痩せるぞーーーー!!」
まずは、ダイエットだよね。
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