「夕ご飯にするから、テーブルの上片付けといてね」
「了解。夕ご飯、何?」
「特製ハムサンドよ!」
コンロが無い我が家では、暖かい手作り夕食って手の届かない夢だなぁ。
どうにかして姉貴には火事のトラウマを乗り越えて欲しいんだけど。
「ところで姉貴ってさ、なんのスポーツ選手やってるの?
試合がテレビとかラジオで放送されちゃったりしてる?」
「それが何のスポーツか、よく分かんないのよねぇ」
「え?」
「とりあえずボールを使う競技みたいよ」
「いやいや、サッカーでも野球でもラグビーでもドッジボールでもキックバックでもボール使うじゃん。
おまけにルールもそれぞれ違うでしょ」
「どのスポーツやってるか分からないのに、選手ってできるわけ?
どんなルールか教えてくれたら、俺、野球かサッカーかドッジボールかキックバックか教えてあげられるけど」
「ルールなんて面倒なもの、私がわざわざお勉強すると思う?」
「!!!!!!?」
「ハムサンド、単純なだけに素材のいいもの使わないと美味しく無いわねぇ…」
この人、どうしてスポーツキャリアで昇進できたのかまったくの謎なんですけど!
それともチームメイト全てがこんな適当シムばっかりで構成されているとか?
全ての選手が俺ルールで動く試合……。
見て見たいような、見ても全然面白く無いような……………。
「あ、近々メジャーデビューするかもしれないし。
もっとも試合っていってもテレビ放送しかないから、私の活躍が見れないのは残念よね」
「しかも放送時間帯、俺が学校行ってる時だしね」
俺がエーナ選手の弟として、恥ずかしくて近所を歩けないくらい、とんでもないプレーをしていなきゃいいんだけど。
試合を見れなくて正解なのかな……?
「ところであんたの方はどうなの? バイトうまく行ってる?」
「うん。平和すぎて報告することも無いくらいだよ。バリスタの仕事も十分慣れてきちゃったし」
「ふーん」
今日は本当に平穏な一日だったな。
姉貴の仕事の事はちょっと気になるけど。
さ、今日が平和なうちにさっさと寝よっと!
しかし、平穏なままでは終わらなった。
我が家が寝静まってすぐ、不法侵入者が。
ペシペシ家の中を通り過ぎて裏庭に出てきたこいつは、うわさに聞く野良ペンギン?
じーーーーーーっ
雪深い裏庭で、何かを見つめる野良ペンギン。
「?」
巨大オオクチバスを発見。
ポイッと空中高く投げ上げ、
「あ~ん」
衝撃の瞬間。
一飲みでした。
どうしてこんな所に魚が落ちているかと言うと、俺がペンギンに会いたくて数日前から撒き餌してたからなんだけど。
家の表においていた魚も、すでに食っちゃったとみたいだね。
食った直後、再び下をじっと見つめるペンギン。
しかし今度は様子がおかしい。
じょぉぉ……
「キュッ♪」
俺に断りもなく魚をたらふく平らげた上、おしっこの置き土産をして帰っていたペンギンでした。
明日の朝の後始末、誰がすると思ってるんだよっ!!!
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