さて、姉貴が一人休日を過ごしている頃。
俺はいつもどおり、学校が終わってバイトです。
「お前、また派手にやったなー」
「あ、これは学校で喧嘩したとかでないんです」
「バイト終わったら、道草食わずにまっすぐ家に帰るって大事っすね!」
「……大事な事を学んでよかったな。
とりあえず、とっとと持ち場につけ」
「エスプレッソ一つね~♪」
というわけで、今日も頑張って小銭を稼ぐぞ!
「ね~、ちょっと聞いてる~??」
「え? あ、はい」
張り切ってカウンターに立ったのはいいけど、気になりすぎるお客を発見。
あそこでコーヒーも頼まずにおじいさんと話してるおじさん……。
最近よく見るんだよな。
この近所に住んでるのかな。
「エスプレッソひとつ」
「は、はい!」
なぜかあのおじさんが店内にいると、気になって仕事に身が入らない。
どうしてだろう。
特別目を引く人でも無いし、どちらかというと冴えない地味な人なのに。
「あー、ようやく昼飯が食えるわ」
そして店長は自分の店とはいえ、お客以上にやりたい放題。
お店のテーブルを占拠して、ひとり昼食食べてます。
「え、え~と……」
あ、おじさん来た!
「……」
「……」
なぜか自分の順番が来たとたん、力尽きるおじさん。
順番待ち、そんなに辛かったのか?
「あの?」
そしてそのままあっち行っちゃったけど。
何がしたかったんだろう。変な人だな……。
って、並びなおしただけか!
どうやらなかなか注文が決まらず、後ろのお客さんに遠慮したらしい。
でもこの店、エスプレッソ一点だから、注文に迷うはずないんだけど。
「エスプレッソ、一杯……」
ようやくご注文。
しかし並びなおすなんて、律儀な人だな。
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