アパート住民専用の娯楽室でチェスをしていたコナーさん。
「下手な歌だなぁ……」
アパート隣人ライリーさんの熱唱が、彼の思考を掻き乱します。
「広い邸宅ですが、意外と仕事はないものですな」
いえいえいえ、ありますともっっ!!!
皆のベッドカバーは乱れたまんまだし、キンバリーが本をテーブルの上に出しっぱなしにしてるし!
ケント氏、風呂とトイレを磨いただけで、あとはずーーーーーーーーーーっっと、キッチンで棒立ち状態。
仕事がないんじゃない。
あなたが仕事に気がつかないだけだ。
「あなたと出会った日から~♪
僕の世界は変わったの~~~~♪」
遊び人のジョフさんは、仕事から帰ってすぐに、ガールフレンドを呼んでいます。
仲良くデュエットしてますが下手くそなんで、横でチェスをしているコナーさんには迷惑極まりないです。
ちなみにお相手の女性は……、
「あなたと会ってから~♪
私の世界は動き出したの~~♪」
ひょっとこです。
クリスティーヌさんだっけか。
日が落ちてから、ようやく家に入ったアルマンドさん。
「やあ、元気にしていたかな?」
「きゃん!」
アルマンドさん、早くルルルルを降ろしてあげて!
なぜならば、
しーーーーーーーここここ……。
ルルルル、我慢してました。
すっきり。
あら、おしっこしても新聞紙汚れないんですね。
ちょっと残念です。
リアルなシミができても嫌ですけど。
「料理勉強しないとね」
「とね」
「ケントさん、ちゃんと仕事してくれてるかなぁ」
「さあねぇ……」
午後8時。
ケントさん……。
あんた仕事中も、ずっとくつろいでいたようなものじゃないか。
サマンサとキンバリーの料理レベルがまだ低いので、アルマンドさんに作ってもらうことに。
コーディアル家の稼ぎ頭であると同時に、料理スキルも高いのです!
「娘の友達も来ているみたいだし、腹にずっしりたまる肉料理にしよう」
「寒くなると、暖炉っていいものですよね」
「そうですわね。
今年はホワイトクリスマスがいいわ……」
「旦那様、首をどうされました?」
「それよりケントさん、仕事終わったのにまだいるんですか?」
「若奥様方直々のご招待でして」
この家で一番まともっぽいのは、タラちゃんとコナーさんだけだと思ってましたが。
「キッチンからいい匂いがするなぁ。サマンサが料理してるのかな?」
「若奥様の手料理とは、楽しみですよ。贅沢ですね」
コナーさん、ゲストとカードです。
でも料理してるのは、ビジネス界の大物ですぜ。
若奥様達とダメ執事は、プライベートリビングでおくつろぎ中。
「そろそろ火曜サスペンス劇場の時間ですな……」
「ケントさん、今日は月曜日よ」
「火って、ずっと見ていると不思議な気持ちになりますね」
「あら、どんな所がですの?」
「この炎は今のひと時しかこの場に存在しないのに、
また別の時に新たな火を見ると、この日の炎を思い出せるんです。
あなたと一緒に見た、この暖かなともし火をね」
「んまぁっ」
アルマンドさん以外、皆好き勝手やってます……!
「いい焼き色ついてきたね」
お客さんの数が多いので、アルマンドさんには大皿2つ用意してもらいました。
ありがとうございます。
「私、お腹がすいてきちゃったわ」
「良かったら、夕食もいかがですか?
意外と粗食なのに、驚かれるかもしれませんが」
「よろしいのかしら。長居してしまって」
「構いませんとも……」
「プリーザントビューの涙雨~~~~っっ♪」
執事、熱・唱・中ーーーーーーーーー!!!!!!
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