まともな料理を食べるのも、久しぶりかもしれないなぁ。
ずーーーーーーーーっと、ピザか中華だもん。
ちなみにこの家のトイレも、とても居心地よかった。
カフェのトイレにこだわってるだけはあるよね。
俺んちのトイレも、4マスくらいに増築して欲しいな……。
姉貴に言ってみようかな。
「ふぐ……おいしい! 料理上手なんですねー」
「料理くらい出来んと、一人暮らしも無理だろうが。
お前はどうなの」
この肉、結構ブランデーのアルコール分残ってる……。
鼻から抜けたよ。
「俺、料理したことないです」
「サラダくらいなら、いけないか?
人に出せるくらいの腕になるのが理想だが、
せめて自分で食えるくらいの物は作れるようにならないと、たいへんだぞ」
うーん。野菜切るだけなら、何とかなるかな。
今度やってみよう。
「ところで店長って、カフェ経営が夢だったりしたんすか?」
「いや、ダンサーが夢だった」
「もう叶えたけど」
「え?」
「ダンスの種類にもよるが、俺が選んだのはミュージカルで踊る消耗の激しいやつで、寿命も短いんだわ。
若くないと体も持たんし、最後に結構大きな怪我したし。
潮時ってなわけで引退して、店出したわけ」
「へー。そうだったんですか」
ということは、この人相当身体スキルが高いね。
「お前は、なんかなりたいものあるのか?」
「特に……」
「もう高校だろ?
せめて大学どうするかとかくらいは考えとかないと、やばくないか。
つか、お前の姉貴はどう言ってんだ?」
「特に何も」
「とりあえず、あのすさまじい女から離れて暮らすことを考えた方がいいぞ」
「はあ……」
「……」
進路かぁ。
ぜんっぜん眼中になかったな。
でも大学に行くんなら、あの宿題の山をどうにかしないといけないんだよなぁ。
「ごちそうさまでしたー」
生活に追われて、色々考えること忘れてたのかな。
でもすぐ目の前に、片付けたい事が色々あるんだよね。
家の帰りに、H&Mの店へ。
片付けたいことを片付けてしまうのだ。
「俺の夏服は、これでいいや。あとは姉貴の……。
レディースは向こうだっけ?」
バイトの時給が26$になってたんだよね。
初回より4$上がってて、予想外にお金が溜まったのは、嬉しいところ。
「これ下さーい」
「お買い上げありがとうございます」
高いと思っていた姉貴の服も、パジャマなら80$でお釣りがくるくらいだった。
余ったお金は、滞納していた請求書に回せるね。
早く帰ろうっと。
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