「お前か! 人にいい加減な財テクアドバイスした奴は!」
「え? 誰なのよ、あんた。
私、色んな人にアドバイスしたから、分かんない」
「ポーション買い占めろって、言ったろ!」
「ああ、あれ」
「マッチメーカーのばばあ連中が、またまじめに働きだしたおかげで、
ポーションの相場が下がりまくりじゃないか!
こうむった損害、どうしてくれる!!」
「あいた」
あ、指で突かれた!
「人のせいにするんじゃないわよ!
大体、アドバイスを求めたのはあんただし、それに従ったのもあんたでしょ!」
姉貴は快活が1だから、やられたら絶対にやり返す人。
「黙れ!
要約すると『ポーションを買い占めろ』って意味のアドバイスを、
4000文字で説明されたら、誰でも信じるだろうが!
いかにも、もっともらしく書きやがって!!」
4000……。
すげぇ……。
「どう見ても、詐欺の手口だぞ!」
「えー?
それってただの被害妄想よ。
それに、若い女性の家に勝手に入って来てさ。警察呼ぶわよ?」
いや、勝手に入ってきてはいないよ。
俺が挨拶して入れたんだ……。
「おまわりさーーーーーん!!」
「話をそらすんじゃねえ!!!」
「きっちり弁償してもらうまで、帰らないからな!」
「ちょっと!
そんな事言われても、家にはお金なんてないわよ」
「そんなのが、言い訳になるかっ。この白塗り!!」
「白塗り……」
いい加減な財テクアドバイスしてるから……。
シム界のネットって、全然匿名性ないもんな。
悪いこと出来ないよ。
「白塗りって言ったわね、このヒゲ!!」
「俺は真実を言っただけじゃないか。
どこかの誰かみてぇに、うそは言ってないぞ!」
「……あ、悪い。そろそろ電話切らなきゃ。
国会の話は、また今度ね」
俺も、呑気に友達と電話してる場合じゃないな。
「誰がうそつきよ!
私はあくまで、自分の考えをアドバイスとして伝えただけよ!
本当にあれで儲かるなら、私が先にやってたわ。
だけど、リスクが大きかったから、自分で試さなかっただけよ!!」
「俺は人柱か!!」
「じゃ、また明日学校で」
チン。
さて、この二人を止めるにはどうしたらいいかな……。
とりあえず、中華を頼んだ。
配達の人、こんなところに置かなくても。
内気な性格で、インターホンを押す勇気がなかったのかな……。
「ガタガタ抜かすな、この野郎!」
「!?」
あ!
姉貴の平手打ちが炸裂。
家の中で、暴力沙汰はやめてよ!
「そっちがその気なら、こっちも受けてたつぞ、この大女!」
「!!」
ああ!
姉貴にそんなことしたら、絶対倍返しだよ!
「あ、夕飯用意してくれたの?」
そして、おもむろにパソコンから離れる赤ガウン。
何しに来たんだよ、この人。
「……白塗りの次は、大女か?」
顔、こわいって……。
「そっちがチビなだけじゃない!
くやしかったら、今から成長してみろ、このサル!!」
必殺往復ビンタ。
「あの、夕ご飯にしません?」
ああよかった。
二人とも、喧嘩を一時中断して、ご飯にしてくれた。
といっても、カフェの人は、向こうのソファーに離れて座っちゃったけど。
「いやー、パソコンを使わせてもらった上、夕飯までご馳走してくれるなんてねー」
赤ガウン、本当に何しに来たんだろ。
カフェの人に挨拶した時、どさくさに紛れて人の家に入ってきちゃったのかな……。
「君達、喧嘩は良くないよ。
こういう時こそ、冷静になって話し合うのが、いいんじゃないかな?
僕が言うんだから、間違いないよ」
「何であんたに言われなきゃいけないのよ」
この赤ガウン、たぶんダウンタウンで有名なプロのパーティーゲストかも。
つまり、寄食の達人。
どさくさに紛れて人の家に入り込むのが、上手いわけだ。
前へ / 次へ
PR
トラックバック
トラックバックURL: