「生徒に、成績表の受け取り拒否権を与えろーーーっ!」
俺帰宅。
実は昨日の成績はFだった。
今日はD-だから、良くはなったんだよ。
宿題、溜まったなぁ……。
コレクションしようか、いっそ。
「ヴァズ、すぐにあのヒゲの店に行くんでしょ?」
「うん。でもその前に、黒い服買わないと」
「だから、お小遣い頂戴♪」
「いいわよ。ま、当然の投資よね」
実は、学校の成績が悪すぎると、普通のバイトは出来ないことになってる。
だから今回の騒動で、個人経営の店で雇ってくれることになったのは、すごく幸運だったんだよね。
じゃ、いってきます!
さ、急ごう。
まずは、ダウンタウンのH&Mへ。
ここなら、手軽な値段でいいものが買えるしね。
えーと、黒いシャツ……。
ここ、ボーダーのポロシャツばっかだな。
Tシャツ……。これは白。
あ、黒のジーンズ買っとこうかな。
あ、向こうにかわいい女の子がいる。
その隣に、変なメイクのおじさんも。
っとと。
今は服を探さなきゃ。時間ないんだった。
そういや、俺、夏向きの服持ってなかった……。
バイト代が溜まったら、買おうかな。
その前に夏が終わらなきゃいいけど。
それにしても、ダウンタウンは変なメイクの人が多いよな。
「これとこれ下さい」
「400$になりまーす!」
「じゃ、これ」
「400$ちょうど、お預かりしまーす!」
ああ……、我が家の財産の8割が飛んでいく……。
「ありがとうございましたー!」
俺の払った100$札4枚が、レジスターの引き出しへ消えていく。
名残惜しい……。
ようやくダウンタウンのコーヒーショップ「Cafe バルス」へ。
うわ、もう16時だ。
「こんにちは! 遅くなりました…」
「こんにちはじゃねぇ。何時だと思ってるんだ」
「あー、下はジーンズか。しょうがねえから、もうそれでいいわ。
エプロン用意したから、それ締めろ。とっとと働け」
「えーと、何したらいいんですか?」
「基本は、ひたすら掃除だ。
でも、この店は一筋縄じゃいかないぞ。他にも重要な仕事がある」
「俺にできるでしょうか」
「まず、すぐ奥のトイレの扉を見ろ。開いている方のだ」
「家の店に来た客は、必ず最初にこのトイレへ来る。
そして、性悪な客は、そこで他の客に迷惑行為をしたりするから、
お前はそれを止めろ」
「はい……」
このカフェ、トイレ目的での来店客しかいないの?
「あとまれに、年くった客の中には、尿意が限界に達するまでトイレのまん前でずっと待ってる奴もいる。
他の客がトイレを使えんから、こういった年寄りは、とりあえずよその場所へ誘導してくれ」
「最後に、右のトイレはよく詰まる。シム的な意味で。
客が溜まり始めたら、定期的にトイレの外へおん出してくれ。以上」
この店、やっぱり変。
俺の仕事、トイレ周りばかりですか?
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