朝起きると、雪が積もっていた。
家の中に…。
「うわぁ!」
家の外には、もっとたくさんの雪!
姉貴もしかして、屋根無しで今年の冬を乗り切るつもりじゃないだろうな。
「……エンジン音が。スクールバス?
やだ、寝過ごしちゃったんだわ。昨日は遅くまでミシンしてたものね」
「とにかくたくさん仕事して、お金を貯めて、家具を充実させなきゃね」
「昨日の晩の中華、食べ散らかしたまんまだったわ。
ぱぱっと片付けて、ダウンタウンに出稼ぎに行かなくっちゃ」
「雪降ってるけど、今日は大して寒くないわね。
屋根、どうしようかな」
とか言いつつ、今日も姉貴はダウンタウンに出かけたみたい。
で、学校から帰ってきた俺はと言うと。
「……D+。
昨日より、二段階も成績がアップしてる……」
「って、見せられるわけないじゃん。こんな成績……」
ちゃんと宿題やって行ったのにな。
そして今日も、丸めてポイされる成績表。
姉貴には、俺を引き取ってくれた恩があるから、出来る限り期待には応えたいと思ってるんだけど。
姉貴、俺が学校に言っている間、雪だるまも作ったみたいだ。
なんていうか、作った人の性格がにじみ出てるね。
俺もあとで作ろうかな。
それ以外、娯楽がないもんな、この家は。
あ、今日も内職してる。
家計が苦しいのは分かるから、テレビとかステレオとかを「買って」なんて、ワガママ言えないんだよなぁ。
昼ごはんは、昨日の中華。
カウンターに出しっぱなしにしてたけど、全然悪くなってないや。
ま、屋根のないこの家は、ある意味天然の冷蔵庫だもんな。
「あはは……。
(焼飯、半冷凍状態になってるよ)」
食えればOKさ!
福祉施設にいた時より、明らかに生活水準下がってるけど、いいんだ。
俺は、満足してる。
大事なことだから、もう一回言います。
満足してる!
「何について?」なんて、意地悪なこと、聞かないでください……。
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