慧が生まれた佐武家。
「そら、高い高……」
「げろ」
「ぎゃー!!」
さながら、慧から礼治へのよろしくの挨拶のように、げろをひっかけられてしまいました。
「……子育てって、たいへんだなぁ……」
すごい顔してますね。
「慧ちゃん。理香おねえちゃんだよ」
慧ちゃん、早速我が家のアイドル。
皆が赤ちゃんをかまいたがります。
その日の晩は、出産祝いのために、友だちや弘美ちゃんたちを家に招待しました。
理香も、今夜は勉強しなくていいよ。
明日は土曜日だしね。
「おばあちゃんいらっしゃい。おじいちゃんは来てないの?」
「さっきトイレを探して、二階に上がっていったわよ」
「パパ。僕達何とかうまくやっていってるよ」
「そうか。平和が一番だよな」
考えてみれば、佐武家の当主は、三代目にしてようやく平穏な人生を手に入れたようです。
圭子、インスタント飲むくらいなら、そこのシェフサラダを食べたらいいのに。
パーティーやっても、お客さんなかなか食事してくれないですよね。
勝手に冷蔵庫から、スナックを出したりして。
「赤ちゃん生まれたのはいいけど、ご褒美の週末のお出かけはどうなるのかなぁ」
ふと気になった理香。
「赤ちゃんがいるから、多分お出かけは無理だね……」
うーん、困りましたねぇ。
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