もう我慢の限界でした。
一人の男性を二人で分け合うなんて、どだい無理なのです。
気がつけば、私は彼に電話をかけていました。
大学時代の恋人、アダムです。
彼はすぐに私と会ってくれるといいました。
夜中も近くでしたが、私たちはブルーウォーター村のあるお店で会うことになりました。
彼に会うのはずいぶん久しぶりでしたが、彼は昔と何一つ変わっていませんでした。
姿も、私に対する愛情も何一つも!
聞くところによれば、彼の結婚生活は平和であるそうです。
私のほうはというと、まさか本当のことも言えませんから、あいまいにごまかしました。
ただ、マルコという子供がいるということだけは、話しました。
しかしこの晩は、私たちは口で言う以上に、心で会話が出来たと思います。
私たちは、自分達に何が必要であるか、鋭く感じ取っていたのです。
彼と一緒にいると、昔のように幸せな気持ちになります。
できれば、昔に戻りたいくらいに。
だけど、これが正しかったかどうかは、私には分かりません。
ただ、後悔だけはしませんでした。
私も、強くなったものです。
翌朝。
玄関で鏡を覗き込むマルコを見ました。
彼も自分の姿が気になる年頃です。
その陰のある表情は、女の子に受けがいいかもしれませんよ。
私は具合が悪かったので、仕事をお休みしました。
しかしいまだに解せないのは、どうして私の上司が犬かということです。
私は、何食わぬ顔で、ヨハンと接しました。
彼にはばれなかったと思います。
もっとも、明日の朝にはばれる事かもしれませんが。
私は、彼には私を責める資格はないと思っています。
でも、問題はそこではないのかもしれません。
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