日を改めて、理香は叔母の真美と一緒に、画廊オーナーの自宅を訪問しました。
「やあ、真美。よく来てくれたね」
「姪に連れて来てくれって、ねだられちゃった!」
とと、理香は挨拶もそこそこに、ずんずん奥に入って行っちゃいました。
「ふーん、ここがアトリエかぁ」
人様んちの奥深くに勝手に入って行って、
二階のバストイレへ。
「うわー。叔母さんの言ってた通り、本当に全部ガラス張りだー」
「こういう開放的な場所だと、爽快だねー」
トイレを借りたかったようですね。
さて、早速モデルです。
夏らしく、水着で描いてもらうことにしました。
とはいっても、この区画は冬だったんですが。
「もうちょっとだけ、そこに浮いといて。粗描きすませてしまうから」
「はーい」
「モデルって言っても、浮いてるだけだから、結構楽だね」
しばらくしてから、お昼ご飯にすることにしました。
「疲れなかった?」
「いーえ。ぜんぜん平気。ちょっと退屈しましたけど」
「絵ももう少ししたら、全体像が見えてくるから、楽しみにしておいてね」
「今日中に描けちゃうんですか?」
「頑張ればね」
「まーなんにしても、姪を描いてもらえるんだから、うれしいことだよねー。もしゃもしゃ……」
真美、あんまりきれい好きではないので、食べるときのほおばり過ぎてこんな顔になります。
この顔、佐武家の伝統みたいなものでしたが、理香はきれい好きなので、この顔にならないんですよね。
すごく残念です。
「十代なんて、一瞬だからね。一番輝いてるときに絵に残してもらえるなんて、幸せものだよ、理香ちゃん」
「ですよねー」
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