食事を終えて外に出ると、雨でした。
この季節は、雨といっても気持ちがいいですね。
家に帰ったら、結婚しようか、とヨハンが言いました。
それもいいかもしれませんね。
帰りしなにそれぞれ指輪を買って、ダイニングで指輪交換です。
二人だけの結婚式でした。
今日のこの日のこの瞬間を、私は一生忘れないでしょう。
きっと母も祝福してくれたと思います。
さあ、結婚が済んだら働かなくては。
母がいなくなってしまった今、この家のすべての仕事が、私にかかっています。
仕事も引退することにしました。
晩には、二人でソファーに座りました。
肩を組んで座ったのも、これが初めてですね。
しかし、私たちの結婚も、長くは続きませんでした。
母のなくなった翌日、ヨハンにもまた、お迎えが来てしまったのです。
ヨハンは、母のいるところへと旅立っていきました。
私を置いてです!
分かっていたこととはいえ、私が一人残されるなんて、あんまりです。
私は声の限りに泣きました。
しかし、私にはそう長いこと泣いている暇はありません。
私は家の裏庭に、二人のお墓を整えました。
いつかは、私もここに並びたいと思っています。
そして、私はヨハンがいなくなった同じ日に、ヴァネッサに携帯電話をプレゼントして、大学へと送り出しました。
ヨハンと撮った写真は、リビングに飾りました。
本当に、いい思い出でした。
私の物語もこれでおしまいです。
私はまだまだ長生きをしなくては。
パスカルやマルコ、ヴァネッサの子供たちの顔を、見なくてはいけません。
後日、私は以前母と立ち寄った画廊の主人に電話を貰って、ダウンタウンへおもむきました。
私たちの肖像画が出来たそうです。
とてもよくかけていました。
これを母やヨハンに見せられなかったことが、残念で仕方ありませんよ。
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