そういえば、以前会員制フィットネスクラブの会員カードをもらっていたのを思い出す。
いい機会だし、訪ねてみることに。
「う~ん。片田舎の寂れた市民プールって感じがする……」
「寂れた何って?」
「あっ、会長さん!」
「フィットネスの基本は、まず持久力からだ。とりあえずプールで体力づくりをはじめたまえ」
「そうしたら、俺もいつかそんな体になれます?」
「もちろんだとも!」
まぁ、ここまでムキムキにならなくてもいいけど……。
「ヒャッホー! 温水プール!!」
ダッパーン!
「よし! それでは皆揃ったところで、マルコポーロだ!」
「え? それなんのトレーニングですか?」
「やってみれば分かる!」
会長の水着って、普通の水着じゃないよね……。
「まずは君が鬼だ! 目を閉じて、われわれを力の限り追ってきたまえ!」
「目を閉じて!?」
「鬼さ~ん、こっちら♪」
「エエエエエ??」
何か右手のほうで誰か飛び込んだぞ!
ていうかこれ、プール内鬼ごっこ!?
すぐに会長さんにタッチして、今度は会長さんが鬼。
楽しいか、これ……。
「ぬおおおお~。皆どこだ~~~!!!」
「わーい、鬼が来た~♪」
えっと、マルコポールという遊びはプールでやる目隠し鬼ごっこらしい。
鬼が「どこだ」と呼ぶと、子は「ここだよ」と答えなきゃいけない。
鬼は帰ってきた子の答えから、彼らがどこにいるか探し当てて、追いかけてタッチする。
もしくは、子のいる方向に向かって、波しぶきを立てる。
タッチされたり、波しぶきをもろに浴びた子が、次の鬼になるというルール……らしい。
子はプールに飛び込んだりして水音を立て、鬼をかく乱したりすることもできる。
「……あんなゲームで本当に体力つくのかなぁ」
いい加減お腹もすいてきたので、ホットドッグを。
火の通った食事は、ものすごく久しぶりな気がするなぁ。
「あっ!」
火、通り過ぎだし!
これどうやって消すの!?
「あわわわわっ」
酸素強制遮断。
何とか鎮火してよかった……。
皆も集まってきて、一緒に昼ごはん。
……あ、やっぱり黒こげホットドッグを食べる人は俺だけだね。
ま、ここも結構楽しそうだし、ジム器具もたくさんあるし、また来てもいいかもね。
「あ~~~~~~~~~~~~~~っ!
つかれた~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
「どこのおっさんだ、お前は。つーか持ち場につけや」
「まだ五分前っす」
「にが……」
プールで疲れてエスプレッソをカブ飲みする羽目になったのは、いうまでもなく。
でも疲れてるときに濃いコーヒーもきつかったかも。
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