朝起きると、家の中の様子がすっかり変わっていた。
……ま、こんなことよくあるよね!
ふと気が付いたら、
家が消えてたとか、
窓もドアも無い狭い部屋に閉じ込められてたとか、
お金が50000$増えてたとか、
トイレから動けなくなったおじいちゃんが、いつのまにかポストの脇に立ってたとか、
この界隈じゃ、普通の事らしいです。
しかしいくらなんでも変わりすぎでは。
俺んち、何も無い家だったはずなのに……。
「お腹すいた……。
あれ?」
誰がこんなに飲み食いしたんだろう。
姉貴かな。
綺麗好きの姉貴は、ゴミは投げ捨てない。
あくまでこれらのゴミは、一時的に床に置いてあるわけで。
ゴミ箱、一杯になってたんだな。
姉貴はまだ寝てるみたいだし、とりあえずゴミ出ししとくか。
それにしても、あんなに何もなかった家がこんなになるなんて。
何か嫌な予感がするなぁ。
しかも、外寒いし!
前回は確か夏じゃなかったっけ。
姉貴……。
庭に草木を植えるのはいいけれど、俺の仕事を増やさないで欲しいです。
てか、落ち葉があるって事は今は秋なわけか。
家だけでなく、時間まで巻き戻ってしまったようです。
「日付確認。
……今日土曜日なんだ。じゃ、学校は無いか。
とりあえず着替えてからクロスワードやろっかな」
それにしても、家をこんなに家らしくしたなんて。
姉貴はいったいどこから、そんなお金を引き出したんだろ。
……嫌な予感がよぎるけど。
「おはよー。もう昼近いけど、朝ご飯にしよっか」
「あ、朝ごはんみたいだから、切るわ。またな」
友達に電話かけてたりしたら、ようやく姉貴がご起床です。
「姉貴、ちょっと色々聞きたい事があるんだけど」
「うん。私も話したい事があるから、ご飯食べながら話そっか」
「で、この家、いったいどうしちゃったの?」
「驚いた?
今日からこの家で暮らせるのよ! 素敵だと思わない!?」
「でもどうやって、ここまで家を改築して家具を揃えられたの」
「お金借りたの♪
総額67182$は下らないわね。
どのみち大金になるのは分かってたし、それならいっそケチらずにドーンと借りて、
色々買っちゃった♪」
「…………」
「なに? 私の太っ腹ぶりに、口もきけなくなっちゃった?」
神様。
どうして俺に、この人を止めるチャンスを下さらなかったんですか?
「ふ、太っ腹って……。
いや、確かに姉貴は事実、この間から太っ腹になってるけど……」
「ちょっと、表出る?」
「いや、それより太っ腹は、姉貴にそんな大金貸してくれた人でしょ!
誰から借りたの!」
以前お金のトラブルで、俺が身売りされて低賃金でバイトさせられてる所だって言うのに。
「全然大丈夫。
今回は、とてつもない大金持ちから借りたから。
返せ返せってうるさくないから」
「そういう問題じゃない気がする……」
この人につける薬が欲しいなぁ。
「借りたお金は、すぐには返さなくて良いわけ?」
「分割。
とりあえず明日の日曜までには、最低でも1000$必要なんだ」
「それから当然、こんないい家住んでたらいつもの請求書も2ケタじゃ済まないわよ。
これからもっと頑張って、たくさん稼がなきゃ!」
「今日は土曜だし、俺バイトないよ?」
「私は家でミシンするから、あんた悪いけどどっかで穴掘りしてきてくんない?
結構いいものが出土するらしいんだ」
今日の俺の一日が決まった。
今決まったよ。
「OK?」
「OK!」
そうと決まれば、早いとこ金策に出発せねば。
前みたいに怖いシムが「金返せ!」って、来ないうちにね。
「ところで姉貴、定職に付くつもりは無いの?」
「無い」
そこまで言い切りますか。
この状況で。
「クマちゃんの生地が……」
さて、早速ミシンに向かった姉貴ですが。
お金がなくて材料すら買えなかったという。
この先の俺達の生活は、果たして大丈夫なんだろうか。
そう。
困った時こそ、友人が頼りになる!……ハズなんだ。
「チャーリー?
悪いけどさ、また町を案内してくんない?
いいものが出土しそうな所に行きたいんだけど」
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