「ヨハン、今夜はどっちで眠るの?」
「君のところにしようか?」
ヨハンは、時に母の部屋で、時に私の部屋で眠ります。
明日はどちらで眠るつもりでしょうか。
眠れない夜は、マルコがいます。
言葉のお稽古などして、時間つぶし。
この三人も、私達がいなければ、ごく普通の家族に見えたことでしょう。
時々そう思います。
ヨハンに、あんよの稽古をしてもらうマルコ。
ヨハンは、マルコにも自分を名前で呼ぶようにとしつけています。
やっぱり、お父さんとは呼ばせたくないんでしょうか。
私は大学時代の友達に、よく電話をかけます。
無邪気だったあの頃が、懐かしいです。
それにしても、ヨハンはたいしたものです。
二人の愛人と同居しながら、家の中に何の波紋も立てないのですから。
私と母は、これまでどおり仲良しです。
嫌われても仕方がないのにと思ったパスカルも、私たちの関係を認めているようです。
私だったら、グレちゃうと思いますが。
「ねぇねぇ、ヨハンて、何気にすごいよね」
「そう?」
こういうのを、男の甲斐性とでもいうのでしょうか。
おしゃべりが出来るようになったマルコは、いろんな人に注目してもらおうと、一生懸命です。
社交性の高い子なのですが、かなり気難しいところもあるのが、ちょっと心配です。
今度はおばあちゃんに抱っこをおねだりですか?
家族が多いから、忙しいね、マルコ。
マルコをお風呂に入れて、今日はもう寝かせることにしましょう。
さて、今夜は……
ヨハンは母の部屋に泊まるようです。
仕方がありませんね。
それじゃあ、今夜は私一人で。
おやすみなさい。
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