「わざわざ家まで迎えに来てくれて、悪いな」
「この道、どっちみち町への途中に通るから、気にすることないっすよ~」
「いいとこ知ってるの?」
「絶対いいものが出土しそうな所、知ってるっす。早く行かないと、日が暮れるっすよ」
そんなこんなでやって来ました。
町の真ん中にあるレストラン「ゴシック邸」。
民家かと思ったけど、元民家なんだね。
「ここ、シムシティーでも相当有名な家族の家だったみたいっすよ。
家系の歴史も古くて、庭は墓だらけだったらしいっす。
いまは墓を潰してレストランに改装したみたいっすけどね」
「バチが当たらないかなぁ。それより、レストランで穴掘りしていいのかな」
「家の裏手なら、人目につきにくいっす」
「話変わるけど、俺んちの姉ちゃんと、チャーリーん家の姉ちゃん達、交換しない?」
「気持ちは分かるけど、似たようなもんすよ。家の姉ちゃん達も」
「……そうなんだ」
チャーリーとは生涯の友人に慣れそうな気がする。
さて、案内されるまま家の裏手とやらに。
「ここ、本当に人目ない?
壁を隔てて、思いっきり人目を感じるんだけど」
「大丈夫大丈夫。人の目なんて、意外と節穴っすよ」
いいのかなぁ……。
「お、なんか出た」
骨でした……。
「ひと収穫あったところで、飯にしないっすか? ここレストランだし」
「うん。それもいいかもね。やっぱ、俺のおごりになる?」
「たまにはいいじゃないっすか」
「いい所教えてくれたしね」
ひとまず夕食に。
現在の全財産は45$なり。
足りるかな。
「またかよ、この野郎」
ウェイターがなかなか注文を取りに来ないと思ったら、穴を埋めてました……。
ここで穴掘る人、結構いるみたいだね。
「ゴシック邸の方は自由に見学できて、トイレにもフロが完備してるっす。
穴掘りで汚れても、すぐに体を洗えるから、密かに人気スポットなんすよね」
「よく知ってるなぁ」
「俺もよく姉ちゃん達に言いつけられて、掘りに来たもんっすよ」
「あ、そうなんだ」
「チャーリーの家も、結構大きくなかった?
請求書とか大丈夫?」
「家は上の姉ちゃんが芸人やってるし、下の姉ちゃんも畑やってるし、全然大丈夫っすよ。
最初の頃は、色々大変だったっすけど」
などと話をしていたら、ようやくウェイターが来た。
顔がすごい怒ってるけど。
とりあえず、2人とも自分の好きなものを注文。
「いただきます!」
「いただいてまっす!!」
チャーリー、相変わらずの犬食い。
「ヴァズさん、フィレステーキなんて食って、大丈夫なんすか? ふがふが」
「ここで食っとかないと、一生食べられないかもしれないじゃん! がつがつ」
姉貴の目の届かない所で、羽を伸ばすことを覚えました。
……何か怪しい動きの人が。
結局レストランの支払いは36$くらいだったから、お金は足りた。
実は食い逃げしようと思ってたのは、秘密。
チャーリーがトイレを借りに行って、俺は引き続き発掘です。
今度はいいもの出て欲しいな。
ところが突然稲光と激しい雨が!
どうやらこの人の仕業らしい。
話に聞くところによると、この町では光の魔法使いと闇の魔女が争っているらしい。
で、闇の魔女が光の魔法使いの城をのっとって以来、町は闇の魔女の支配下にあるんだとか。
(……姉貴なら、闇の魔女を倒せるかもしれない。
倒したら、金一封とか出るのかな)
だって姉貴、肌が白いからいつも照明効果が過多気味で、光の魔法使いの味方になれそうなんだもん。
なんて想像はさておき。
結局掘った穴からは石ころしか出てこず。
挙句の果てに……。
「水? み、水!?
って、やっぱ水だーーーーーーー!」
水道管を傷つけたみたい。
えーとえーと、落ち着け。
こんな時は……。
逃げるが一番。
穴掘り終了です。
いい加減ドロだらけだし、実はちょっとした収穫もあったし。
トイレとお風呂貸してもらおう。
と、ここはベッドルームか。
展示用に赤いロープが張ってあるね。
あ、トイレから帰ってこないと思ったら、こんなところにいたのか。
しかもちょっと上手じゃない?
人は見かけによらないな。
リビングの奥はキッチン。
そのうちもっとゆっくり見学しに来たいかもね。
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